日日是今帳…3月12日

民家Hibicoreの女将が『ずれずれなるままに』今日の『ウタ』を綴る『日日是今帳』

春雨じゃ濡れて参ろう…という言葉がふと浮かんだ今朝の雨。子どもの頃から耳にしているフレーズで、時代劇の一コマなのだろうなと思っていましたが詳細は知りませんでした。調べてみたところ、戯曲の中で主人公の月形半平太が言ったセリフでした。それが人々の間にも定着して、小雨の中を傘無しで歩いていく時にちょっと気取って言う言葉になったようです。夏や秋でも小雨は小雨なのですが、春の雨はなぜか優しい感じがします。これから暖かく明るくなっていく時期の雨だからでしょうか。写真は春雨に濡れるヒビコレの敷石です。石の窪みにできた小さなみずたまりにケヤキの枝が映り、雨の雫が落ちると水面の枝がゆらぎます。水鉢や甕にたまった水も鏡の様に空の景色を映していますが、鏡のない時代は人も水面に己の姿を映していたのでしょう。と、書いていたら水に映った自分に恋してしまうギリシャ神話のナルキッソスのことを思い出しました。ナルキッソスは水仙の学名。巷では水仙が満開ですが、ヒビコレの水仙は未だに開花していません(笑)

2025年3月12日

哀しみも 優しく包む 春の雨